BBS DIARYLIBRARY 

ロリ〜タのひとりごと

2006/3/7 (Tue)  プリ氏

るん
photo by lorita12345

る゛



政治部屋にプリ氏という中年男性?がいらっしゃいます。先日、オハイオ州住みのHOLE氏が新しいドローイングを拝見したいと言ってくださったので見ていただきました。すると突然プリ氏が、

この絵は素晴らしい!俺に売ってくれ!これは油絵の下絵なのでとお断りしましたが、仕上がったら俺が買う!何気にお優しいお方・・。


さて、このプリ氏は絵の収集家でいらしゃいます。
誰の作品をお持ちで?と問う前にしっかりご自分で仰いました。

"佐伯祐三""の油絵を持ってるよ〜。


ほぉ。あの有名な作家ですか?


本物なら数千万円ですよね。


うん。とても良い絵なんだ。
何処でお買い求めになられました?もしや・・あそこ?


うん!いつものところ!アヒャヒャ!
ウップッ。思わずブラウザに向かって噴出してしまいました。

プリ氏は、以前もゴッホだったか、ゴーガンだったか、油絵がでていると言いながら売り手のURLを見せてくれました。
それはヤフオク!でした。

俺が買うからね!競争相手になるなよー。ヒャハハハ


価格は確か・・10万円くらいだったでしょうか。 先ほどの佐伯祐三の油絵も10万円ほどでヤフオクで買ったそうです。


どうしても負けたくなかった!あの絵が欲しかった!
開高健の色紙もヤフオクで5万円ほどで買ったそうです。
怪しいものだったのでどこかの居酒屋にくれちまったよ。フッ。


誠に大らかな奔放不覇のプリ氏とお見受けしました。


少し気になったのでアタシは佐伯祐三をヤフオクで検索しました。
あるわあるわ。1万円から10万円の佐伯祐三の油絵がゴッソリ出品されていました。

追記:このブリ氏がBBSに書き込みをしてくださっています。経験豊富な面白い内容です。お名前はプリズンホテル氏です。是非お読みください。
http://www3.rocketbbs.com/403/lori.html



2006/3/10 (Fri)  WHITE DAY l



真夜中アウチ



あれは去年の入梅まもなくの頃だったと思います。



地下鉄の構内は傘の雨雫で濡れていました。
最終電車のアナウンスを聴きながら人々は急ぎ足で通り過ぎていきます。駅には酔っ払いのサラリーマンや飲み会の後のOL達などが大声でふざけ合っていると思えば、ホームの柱を背に1点を見つめる表情の哲学をする男性もいます。
友達と何軒かはしごをした帰りのアタシは千鳥足とまではいきませんが少し酒気を帯びていました。友達達と別れて乗り換え電車を待つアタシは何を考えるでもなく柱にもたれて軽い酔いを感じていました。


不便なことに2週間ほどアタシのPCが使えなくなり最寄の満喫で用を足すことが日課になっていました。この駅の近くにも満喫があることを思い出し立ち寄ってみることにしました。
アタシは柱を背中で押してフラッと出口へ。こんな真夜中に人々と逆方向に階段を上るアタシと降りる人々。可笑しな風景です。最終電車にはもう乗れません。でも家まで徒歩で20分の距離なので、それに小雨の中をブラブラと歩きたい気分でした。


駅の前のパチンコ屋は客たちで混雑し、こんな夜更けなのにかなりの人々が道を行き来しています。立ち食い蕎麦屋を過ぎると満喫があります。あれ?あった筈の満喫が忽然と消えています。良く見ると挨拶状が貼ってありました。


「長い間お世話になりました。当店は閉店しました。」


駅に隣接する交番で事情を説明すると、おまわりさんが地図で調べてくれました。


「確か・・別のお店があると思いますよ。ほら此処に。」


交番でもらったメモを片手に道を歩くアタシの髪から雨水が垂れています。

怪し気な客引きの男達や変な日本語のフィリピン女性達が妙に大きい黒い傘をさし、「こばわ〜♪」「いらっしゃいまし〜♪」とすれ違う男たちに色っぽい声で客引きをしています。この界隈は老舗の有名割烹料理店などがあり、同時に意味ありげなサロン系の店が調和を保ちながら遅くまで営業をしています。


おかしいな・・通りを間違えたかしら?


同じところを行ったり来たりするアタシはまるで客引きたちの仲間のようです。客引きの1人の男性と視線が合ったので声をかけてみました。

「あの・・満喫をご存知ではありませんか?」

「え?満喫って?」
男は傘の中にアタシをいれてくれました。真夜中のランデブー


2006/3/12 (Sun)  WHITE DAY ll



DOG & CATS


ふりだした雨に
テールライト
すり抜けた横顔に
切なげなため息
追いかけた謎に
気持ちだけが走ってる



黒い雨傘の中で直立した2人は大きいため息をつきました。

傘をもつ男の細長い指は雨に濡れ青白く震えています。スリムで長身の男の額に薄い髪の毛の数本が長く垂れ、濃いまつ毛は鼻筋に深い影を見せています。
客引きの男達全員が制服の黒いスーツに白いインナーをみせて何気にシュールな雰囲気が漂っていました。


「満喫って何?ネットカフェのこと?」 あ、それです・・。


お店のマネージャーが男を睨んでいます。


「あ、ごめん。俺、今仕事中なんで・・」 こちらこそスミマセンでした。


「ま、いっか。こっちだよ。」


男は水溜りを避けてぴょんぴょん飛びながら、
斜め向かいのビルの下まで誘導してくれました。

「ここの2階だよ〜。」

ありがとうございました。仕事中なのにごめんなさい。

男はニッコリ微笑むと無言で持ち場に帰っていきました。




2006/3/14 (Tue)  WHITE DAY lll



PC NIGHT.COM.R




うつむいたアタシの笑顔と濡れた髪が安らぎの証拠です。
しっとりした空気がアタシの心を包んで、振り向けば雨が降っています。


階段をあがると自動ドアが開き、ネットカフェのお兄さんが「いらっしゃい」と挨拶をしてくれました。いつものように一時間だけのネットタイムです。
席に案内され、上着をハンガーにかけて腕時計をPCの横に置きます。トイレに行き、手を洗いながら鏡の中のアタシを見つめます。オレンジ色の口紅を拭き取りカバンの中から歯ブラシを出して歯磨き。目脂がついてない?髪の毛は濡れているけど大丈夫。白いブラウスの胸の辺りに1点のシミを見つけて、バッグの中の瞬間脱色剤でパンパンと布を叩きました。見る見るうちにシミが消えたのでこれは優れもの。と感心するアタシです。そしてトイレのノブを回すと気分はショータイムです。

ほうじ茶を2杯カップにいれながらバイトの学生にかまってチャン。苦笑するバイト生を尻目に席に戻ると、どこからか鼾の音が聞こえます。ネットカフェは5人がPCを使い3人が長いテーブルで漫画を読んでいました。静かな夜は静かな人々と過ぎていく、アタシはそんな雰囲気がとても好きです。

下界を見ると黒い傘の群れが紫陽花色に発光してあの中にあの男もいるのね・・・と懐かしい気分になりました。

席に戻る途中、チラチラとPCの人々を見ると、イスにもたれて眠る人、動画を見る人、検索をする人、皆さん憩いの一時です。カタカタカタカタと騒音になりそうなスピードで打ち続けるアタシの作業と隣席の小さな鼾音とのリズムは輪唱してバロックの響きです。

立ち上がって背伸びをすると会計のバイト生と目が合い意味のない微笑みにアタシも意味なく交わします。
56分経過。忘れ物のないことを確認したアタシは会計を済ませ、来たときと同じ動作でトイレに行き口紅を塗りました。
外に出ると街灯に雨模様がみえました・・。まだ降ってる・・。


ほ〜い。ど〜ぞ。あら。(笑

あの男が透明傘をパッと開いてアタシに渡してくれました。

お客の忘れものだけど。どうぞ・・。ぇ・・・・・・

雨・・やみそうにないよ。じゃ・・お言葉に甘えて。

うん。おやすみ・・。おやすみなさい。



2006/3/17 (Fri)  WHITE DAY lV


CIFFON de COOLしふぉんけーき




翌日も今にも降りそうな曇り空。昨夜借りた傘を返さなきゃ・・・。
夜は法曹業界に勤める友達の山ちゃんと馴染みの小料理屋さんへ。


らっしゃい・・。

客はアタシ達2人だけ?と心配したら奥の座敷から数人の客の声が聞こえます。無言で料理を一品ずつ座敷へ運ぶ主人。「相変わらず1人でやってるんですね。」履きなれた下駄をカランカランと音を立てて小さい料理場とカウンターを行き来しながら、「気を使って料理を作るのが面倒っす・・・一人の方が気楽ですから」

山ちゃんとアタシの前にふっくらと煮えた黒豆のお通しが小鉢に。美味しい・・。
入り口の信楽焼の大壷の前に黒豆の袋がいくつか並んでいる。「あれは?」「お持ち帰り用に売ってるっす」「そうなんだ・・・」「あら。美味しい黒豆。3袋をお持ち帰りにします。」と山ちゃんは予約した。それから日本酒をチビリチビリ始めた山ちゃん。

こちらのお店はボスから聞いてました。
そっすか・・

落ち着いたお店ですね。また来てもいい?
いつでも・・

仕事一途の無口な山ちゃんはお酒がはいると饒舌家に豹変します。
主人は目の前で鰆の見事な手さばきを見せながら料理を続けています。

昭和初期頃の木造の家は夕方になると灯がともり、玄関先の石段には水が打たれます。桜の季節には満開の桜枝が玄関の大壷に無造作に投げ入れてあり、玄関の木戸を開けると桜吹雪でお客を迎えてくれる。そういう風情のあるお店です。

もち米で包んだ甘鯛の汁椀の上に桜の花びらをパラパラと散らす主人。同じ演出をどこかのお店で見たことがあるけどこの主人の粋な演出に勝る人はいないと思います。そしてどことなく蔭があり口数の少ない主人には「これ以上はご勘弁を」という壁があります。

トイレの洗面台に古伊万里染付の大鉢がありその中にお絞りタオルが几帳面に並んでいます。良く見ると鉢に欠けがあるので、「鉢が欠けてますね」というと、「知り合いにもらったんですが景色の良い大鉢でござんしょ。古いものは捨てがたいっすよ」「そうですね」
「どれどれ。見てくる!」と山ちゃんもトイレに。

座敷の客の1人がトイレに行くのを見て、あれ?あの人は??

トイレから出てきた山ちゃんが「ギャ!」、その客と鉢合わせになり、


ボス!今夜はこちらで会食だったんですか?


そうだよー。おや。ロリさんも来てたの?


先生。お久しぶりです。


今夜は僕がご馳走するね。会計は僕にお願いします。


「愚痴を聞かれなかったかな・・」と山ちゃんが心配気です。
店主は「大丈夫っす。ちっちゃい店ですが座敷には聞こえませんから。」

本当に美味しかったです。ご馳走さまでした。
へぃ。ありがとうございました。またのお越しを。


夜の街は雨後の靄で煙っていました。山ちゃんを見送り、
ケーキ屋さんでシフォンケーキを1片包んでもらったアタシは、

あの男性に傘を返しにいこうと思いました。




2006/3/19 (Sun)  WHITE DAY V


SHADOW MANるヾ



tear droping

立ち食い蕎麦屋の開けっ放した店の奥から馴染みの店主が「今日は食べないの?」と言いたそうな顔をしています。「今夜はお腹いっぱいなので・・また来ます。」と手を振って通り過ぎました。

小雨で借りた傘が濡れないようにコートの中に入れて、ケーキを2切れにすれば良かった・・・・と気にするアタシでした。

近道の薄暗い路地を抜けると賑やかな通りにでます。

昨日の傘の軍団がパラパラと分散して客引きをしていました。どの人?顔を覚えているつもりですが良くわかりません。1人1人を傘の下から確認していると、「お姉さん。ハジメを探してるの?」と昨日睨んでいたマネージャーの男性が声をかけてくれました。「傘をお借りしたので返しにきました。お名前は知らないんです・・」
「ハジメもてもてー!はははは。」とフィリピンの女性達が大はしゃぎです。
「ハジメはすぐに戻ってくるよ。お店にはいらない?女性でもOKだよ」とマネージャーが笑いながら言っています。
お店の入り口で雨宿りをしながらマネージャーと世間話しをしているとハジメが戻ってきました。
る"ン


こんばんは・・
傘、ありがとうございました。これケーキです。どうぞ。
わざわざ・・すみません。


「ささ。中に入って!」と諦めないマネージャーが背中を押します。
ハチメを見上げると彼の目が無言で「入ったらだめだよ」と言っています。

あ、はい・・。帰ります。おやすみなさい。
あぁ。おやすみ。


アタシは背中に全員の視線を感じましたが振り向かないでそのまま踵を返して駅に向かいました。

あの人、ハジメって名前なんだ・・。ケーキ食べてくれるかな・・。

改札口を入ろうとすると後ろから、「タタタタ!ハッハッハッ・・・」


ハッハッ・・。高価なケーキをすいませんでした。ハァハァ


走ってきたのか声が弾んでいます。明るい駅構内で傘のない男の顔を見ると、微妙に頭髪が薄く眉毛が八の字で、どこかで会ったことがある?
いえ、どこにでもいる男の人だと感じました。制服の黒いスーツはズボンの裾が短くて彼の大きい身体には全体に小さめです。駅構内のライトの下ではシャキと見えたスーツが古着特有のテカテカに光り、インナーのシワシワも目立ちました。
でも切れ長の眼に長いまつ毛が重なり、何か言いたくても言えないような切なげな表情が「この人は悪い人ではないわ」そんな印象を受けました。

傘をありがとうございました・・。おやすみなさい。
こちらこそケーキをありがとう。



2006/3/20 (Mon)  WHITE DAY Vl


A'雨あがる



my shoes

トイレに行きたい・・ムニャムニャ。


目覚めると1番にPCをON。SINさんから貰ったAD_AWAREでスキャンをします。スキャン中は冷蔵庫を物色し、ムニャムニャ、洗濯機を動かしてムニャ。
スキャンの様子をチラリズム。ホェェ・・まだか。ムニャムニャ。


自動で作動するウィルスバスターの全ファイルのアップデートは時間がかかるので深夜に設定してあります。スキャンが終了すると先ずはOutlook Expressのメールを確認し返信します。殆どのメールが出会い系サイトのものでShiftを使ってまとめて削除します。
島根のお茶屋さんから送ってもらった煎茶をコーヒーマグにたっぷり淹れてと、OK・・・さぁ開始です。┣┓の座布団のクッションをパンパンと叩き平面にし深く座ります。ふぅ〜と呼吸を整えてキーボードをカタカタカタ。


PCのない生活なんてアタシ・・・困るんです。


オタク達の生活サイクルが変わっても仕方のないことです。PCのない頃はもっと色々やっていたような気がします。アタシの時間はPC中心に動いているといっても過言ではないでしょう。家電より電子メールで用が足せる時代になり、数年後は携帯機能の進歩でPCモニターが粗大ゴミと化す現象が起きるのではないでしょうか。液晶モニターもより機能的に変化すると思います。時代は動いています。カタカタカタカタ。


仕事上のお客さんと11時に約束していたのでおされをして出かけました。
黒のスーツのインナーに白いたっぷりのフリフリギャザー襟を上着の胸元に出してみました。ミニスカートに白いブラウスを中にいれないで重ね着風に装います。風にソヨソヨ揺れてルン。ピンヒールは転ぶので履けません。BGBGのベージュのフラットシューズでアンニュイ気分♪

東銀座の駅を出るとパチンコ屋さんがあります。「OK。ちとPCを使わせてもらおう。」お客達が列をして開店を待っています。アタシも並んで目標のPCを見つめます。


パチンコ屋さんのカフェに数台のPCが置いてありこれが無料なのです。開店と同時に人々はタッタッタッタと自分のパチンコ台に走り、カフェなんて、ましてやPCなどを使う人なんていません。彼等はパンチコ命ですから。
パチンコ屋にPCはミスマッチだとは思いません?それも数台も置いてあるなんてパチンコ営業にどんなメリットがあるのでしょう。理由がまったく分かりません。パチンコ業界とIT産業の共存でしょうか。


朝日の差し込むカフェはガラス窓でおされなサンルームです。誰に束縛されることもなくPCを無料で使える至極の時です。11時の約束なので1時間を有意義に使えるので儲かった気分です。笑いが止まりません。


(´0ノ`*)オーホッホ!!



ところでお願いです。パチンコ屋さんのPCは競争相手が増えると
使用率が高くなるのでこの日記を読んだ方は利用しないで下さい。



2006/3/22 (Wed)  WHITE DAY Vll


ACCESS POINTぽかりっちょ



チラッ

夕方、パチンコ屋さんの前を通ったので立ち寄ってみました。このまま帰宅してもつまらないので気分転換に雑踏の中で孤独を味わいたいというか、こんな気分はよくあることなので躊躇なく店内に入りました。


店内はパチンコ玉の流れる音で騒々しく、PCのあるカフェもコーヒーを飲む人やPCを使う人達で混雑していました。カフェのイスに座って取り敢えずPCの空席を待つ事にしました。PC台はパチンコ台の休憩なのでしょうか、業師風体の人々数名がそれぞれのPCの前に座り込んで何やらブラウザを見つめています。1台のPCで外人女性が夢中でカタカタとキーボードを叩き、チリチリパーマの日本女性がブラインドタッチでキーボードで打ち込んでいます。「あら、やるじゃん・・このネーさん。」


チリチリ毛のオレンジに髪を染めたネーさんがアタシを上目使いに見て、「アンタ・・使いたいの?代わるよ」「メールを確認するだけですから・・」
席を立った彼女はコーヒーを買いにカウンターへ行ってしまいました。
そのままブラウザのサイトを残して行ってしまわれたので、消す前にチラッと見ると、2ちゃんねるの掲示板でした。
「ほぉ・・パチンコ屋に2ちゃねら〜か・・2chって奥が深いな・・。スレッドは何かしら・・?おっと戻ってきた。まずい!フ゜チン。」


アタシの側のイスに足を組んで座ったネーさんがコーヒーを飲みながらアタシを見つめています。


アンタ タイプ速いね。
ネーさんには及びませんです。えへ


彼女が見つめているので緊張して指が思うように動きません。カチコチカチ。
ネーさんを見たら絶対に視線が合うし、お愛想笑いしなきゃだめだし、
ここのところは無表情を保とう・・カチッコチッ。


アンタ、ブラインドタッチはどこで習ったの?
エト・・。ブラインドは英語で、タッチも英語で、あゎゎゎ。チカ゛ゥ。
ガキの頃よりピアノをやりまして、それでたぶん・・かも。汗

そうなんだ・・。フーン。


ネ・・ネーさんは?
そんな野暮な質問しないでよ。アタシャ。パチンコと競馬よ。ふふ。


コーヒー飲む?ゴチするよ。
いえ。アタシは甘党ですから・・。
コーヒーに砂糖いれると甘いよ。ふふ
・・・・・・・・


あの、本日はお日柄もよろしくて、PCありがとうございました。
終わったの?さすがにブラインドだわ。いつでもおいで。
あ、はい。失礼します・・タタタッタタタタ
(ていうか・・この人のPCなのかよ!)


慌てて外にでると、夜の冷たい外気が気持ち良い。
ほ〜れ、電車に乗ろう!
電車の改札口を通過した所で携帯を忘れたことに気づきました。駅員さんに焦って事情を説明すると、「見ていらっしゃい。すぐに帰ってきてね」
「この上ですから。直ぐに戻ります。タッタッタッタ・・ハァハァハァ」

アンタ。おっちょこちょいだねー。ふふふ


ネーさんが携帯を左右にブーラブーラと振っています。
パチンコ師の粋なネーさんに後光が差して彼女がまるで女神さまに見えました。ヘ゜コヘ゜コとお辞儀をしお礼を言ったアタシはタッタッタ。駅の階段を降りて、ハァハァハァ。先ほどの駅員さんが気持ち良く改札口を通してくれました。


何気に疲れたアタシはいつものネットカフェに行こうと思いました。



2006/3/24 (Fri)  WHITE DAY Vlll


COTTON HOUSEぽかりんこ



ほぇ〜

雨上がりは空気が浄化しネオンが透き通って見えます。
夜の風景がこんなに変るのかしら。
裏通りの切り花を売る露店で売り子の少女が1人で店終をしています。
見事な白ユリがバケツに数本投げ入れてあり、輪ゴムで束ねた髪の少女が声をかけてきました。「オネサン。買ッテテ」 「どこから来たの?」 
「中国ダヨ。コレ売レナイ。コマル。500円デイイヨ。買ッテ!」 
白ユリを新聞紙に包んで「アリガトゴザイマシタ」 
彼女の紅色の冷え切った指がアタシの指に触り、あぁ・・良い匂い。


ネットカフェの前の通りに出ると、いつも客引きをしているはずの傘軍団が今夜はいません。時間的に早いんだわ。じゃ、いつものように一時間だけPCで遊ぼう。トントントン。階段を上がるとネットカフェです。今夜は女性が専門書を読みながら店番をしていました。
「こんばんは。一時間使わせてくださいね。」ユリの強い匂いが部屋中に充満するので「ご迷惑では?外においておきましょうか?」「綺麗なユリですね。良い匂い。大丈夫ですよ。」


パチンコ屋さんで出来なかったメールの処理を済ませ、それから雑用を。一時間はあっという間に過ぎていきます。PCの前で女性2人が小声で話をしている以外はいつもと変らぬ静かなお店です。「オネーサン。イラシャイマセー」「え?」前のお店のフィリピン女性たちでした。「コレカラ仕事〜。時々ここでパソコン勉強シテルヨ。」「そっか。笑」
アタシが帰る頃、彼女たちはいつの間にか消えていました。


「ありがとうございました。お疲れ様です。」トコトコトコ。
通りのお惣菜屋さん、お餅屋さんが店頭の商品を片付けています。
前のお店の入り口にはマネージャーもいなく、客引きのスタッフ達もいないのでお店に近づいて見学をすることにしました。「何をするお店かしら・・・メニューもないし、ケバイ写真もない。あら、お店の案内があるわ。背伸びしなきゃ見えない・・。ヒ゜ョン〜ヒ゜ョン」


トン。


誰かが背後からアタシの右肩を叩きました。「え?」
振り向くとユリの花束の中に男の顔面が突然現れました。


入るつもり? 笑
いえ。見てるだけです。笑


これからネットカフェ?
PCは終わりました。笑
そっか。


あなたはこれからお仕事?
そう・・・。この辺りに住んでるの?
次の駅です。
そっか。


・・・・じゃ・・おやすみなさい。
うん・・おやすみ。


焦りました。ドキッとしました。
電車に飛び乗って冷や汗をハンカチで拭きました。


電車を降りたアタシは駅前の八百屋さんで特売の苺を1パック買いました。喉が渇いていたので歩きながら苺を一粒食べましょう。
コ゛ソコ゛ソ袋を探っていたら苺の袋が路上に落ちてしまいました。パシャ。


苺の汁が白い袋に滲むのを見ながら情けない気持ちになるアタシでした。



2006/3/26 (Sun)  WHITE DAY Vllll


MANEATER男漁



JIM DINE ETCHING PRINT 1965

男心なんてわからない。男にならなきゃ男のことなんてわかりゃしない。
女心ほど単純で感情的なものはない。「チクチク胸がこう・・なんていうか痛いのよ」なんていっても所詮人の心の中なんてわからない。何が痛いのよ?と問うても答えが返ってくるわけでもない。ま、人恋しいくせに素直に表せないのが男と女の共通点で原始的な恋の始まりだと思う。

ところで、知り合いにどうしても落ち着かない女がいて、彼女はいつも違う男を連れています。タフな女と一言でいえばそれまでだけど、恋愛にはかなりのエネルギーを必要とするはずなのに、いつ見ても違う男を連れている。また男が変ったのか・・と見ているといつの間にか違う男に乗り変えている。物凄いスピードで男を変えている。違う男と違うセクースを楽しんでいるのだろうか。常に男がいないと不安になるのだろうか・・これはまさに病気ですぞ。
彼女は美人かって?そうね・・・普通より上かも。ケバイかって?化粧すると確かに美人になるけどそうでもない。。普通よ。


ただし、毛が異常に濃い。毛とはワキゲと恥毛のことです。
夏なんてノースリーブのシャツから毛がドバーと出ますよ。モクモクのドバーです。でも決して剃りません。たまたまプールの着替え室でみたんだけど恥毛もパンティからはみ出てお臍まで到達している太いフサフサのチリ毛でした。恥毛を剃れとまではいわないけど処理すればいいのにまったく無頓着な人です。
こういう毛の濃い女って情が深いのかも。この毛の深さに男はフェロモン的な魅力を感じるのかもしれません。

そんな彼女にも悩みがあるようで、ある日アタシにぼやきました。

私、男運が悪いみたい・・。

これは次にまた男を変えるという前兆であり、
彼女なりのエクスキューズなのです。凸!




2006/3/27 (Mon)  WHITE DAY X




O R E N G E 'オ レ ン シ゛ キュ ー ル



my shoes

世間はアタシに挨拶もなく桜色に染まっています。人々は頭を上げて溜息をつき、桜色に染まる風景を遠くに愛でるのです。
アタシは満開の桜を見るより花びらの散る姿に胸の高鳴りをおぼえます。
葉桜になり柔らかい薄緑色の新葉が待ち遠しいです。


さて、梅雨の出来事を続けましょう。


ネットカフェ通いは続いていました。何気にドラマチックな気配を感じたアタシは現地へ足しげく通ったものです。挨拶も会話もなくお互いの眼が合えば軽く会釈をする程度で相変わらず無言の会話が続いていました。
夜の帳が優しく包む夜の街に佇む男と女。道行く人たちの中にお互いの姿を探しても見て見ぬ振りをするのも一種のロマンチシズムです。


アタシのネット環境は間もなく平常通りになる予定です。お金を払ってネットカフェ通いも必要でなくなります。そして、あの男ハジメともお別れです。お別れとなると最後の挨拶も必要なのかしら・・と考えましたが・・・・・、
ここのところはアタシらしく深く語らないで一言サヨウナラでお別れです。
そして明日が最後の夜となりました。


また今夜も無言で会釈をしてお別れです。


こんばんは。こんばんは。おやすみなさい。おやすみ。


今夜が終わりました。



2006/3/29 (Wed)   


L O V E L E T T E Rphoto by yoko

桜の妖精の棲む所

桜の君とお呼びしませふ。




2006/3/29 (Wed)  WHITE DAY lX

きっと
yeah
君はこ・な・い♪

ぃぇ〜す♪



ひきこもりのナイト♪

yeah
サイレントナイト♪お〜♪ホリィ〜ナイト♪





2006/3/30 (Thu)  WHITE DAY llX


山下達郎

フルコースチック

前菜に生チョコを3個。次にコロッケの一口サイズを3個、ゆっくりプロムナードで漬物売り場へ。ベッタラ漬2枚と胡瓜の糠漬けを賞味し、喉が異常に渇いたので極上の煎茶コーナーで試飲。フルコースで、る"ん。
あらん。いけません。デザートを忘れていました。
地下食料品売場の出口で生チョコをもう1個。はい。ごちそうさま。


バッグからベッタラ漬けの甘い芳香が電車の中に漂って、んんん。
これは健康なオナラの臭いです。アタシの気分は時期はずれの山下達郎的なのに、車内の人々の視線が微妙です。



2006/3/31 (Fri)  WHITE DAY lllX


STORY100円

ウルルン

虚ろな雨が降っています。
2週間の漫喫生活マンキツもこれで終了です。

隣人を愛せ。隣の客は良く柿食う客だ。隣の人は何する人ぞ。
隣席の音なしの屁香にアタシも屁って人間皆平等。100円玉をイスの下に見つけサッと財布に収めて今夜は縁起が良い。室内に漂う安物の耐えられないコロンに咽びながら、取り放題のティーバッグとシュガー袋をガバッとカバンに忍ばせ、飲み放題の飲料をすべて試飲しながらマックの照り焼きバーガーに齧り付く。漫喫とは満足の契り場所と解しましょう。

ネットカフェ生活は楽しいような、嬉しいような、淋しいような、これでまた
アタシは引きこもります。
さようなら。我等が同胞達よ。エンがあればまたいつの日か。

街の騒音は雨音で消え夜が忍び寄っています。
階段を降りると床が雨水で滑りやすく、決して転ばないと決めていたのに、ありゃりゃ、滑ってしまった。最後の夜にしては締めくくりが悪いです。転んだところを誰かに見られてない?周りを確認して何もなかったフリをするアタシです。フフン。

ハジメはいる?いない。いない。いた!目が合った!ウッホイ。

いつのまにか顔馴染みになったマネージャーがアタシに笑顔をみせ、
フィリピン女性たちも振り向いてアタシに投げキッス。アタシも笑って手を振りました。さようなら。おおるよ。

少しの間、軒下で雨宿りをしましょう。今夜は商売繁盛らしく人々の流れが気忙しそうです。いきなりハジメが目の前に現れて左腕を突き出しアタシを通せんぼ。ほぇ〜。


ハジメの右手の携帯電話が微妙に震えています。


ウルウルケ、ケイタイもってるでしょ?ト、トウロクしましょう。
ボ、ボク・・いつまでもこのバイトを続けません。
ガ、学校もちゃんと卒業します。就職もします。
マ、真面目な人間ですから。安心してください。


ト、トウロクしてください!


ハジメの目はウルウルして今にもこぼれそうです。






あ。あの・・
は、はい・・


ベッタラ漬け・・好きですか?
あ、はい・・好き・・です。


どうぞ召し上がれ・・。
あ、ども・・。


じゃ。。おやすみなさい。


土砂降りの中を走り去るアタシをハジメは見ていたと思います。
後ろを振り返る勇気のないアタシでした。


コイン入れの幸運の100円玉はいつの間にか消えてしまいました。



2006/4/2 (Sun)  WHITE DAY llllX


WHITE DAY

WHITEDAY

暑い夏が過ぎ、枯葉が舞う季節が去り、街角がクリスマス色に染まる頃。
犯人は必ず現場に現れます。


今夜は寒さが身に滲みます。立ち食い蕎麦屋さんで一杯の掛け蕎麦を、「ごちそうさま」。
コートの襟を立てて夜空を見上げると雲に隠れたフルムーンがなにげに退屈そう。裏道を通り抜けるとマンキツがあり、そしてハジメの立っている場所に出ます。あれから半年近くが過ぎ、その後一度もマンキツに行っていませんでした。


「遠くから見みるだけね」。言い聞かせながら裏通りをポムポムと歩くと、
懐かしい街並みの風景は同じでした。ただ、不思議なことに傘軍団もフィリピン女性たちも消えて、あの謎めいたビルの一階はおされなイタリアンレストランに変っていました。わずか半年前のことなのにアタシの記憶は寂しく揺れました。


来た道を戻ると駅の隣にパチンコ屋さんがあります。パチンコの玉の音で騒々しいお店の中から咥え煙草の男が慌ててでてきました。煙草をポイと捨てながら、


ちょっとアンタ!アンタ!久しぶり!
ま〜!マネージャーさん!笑


アンタ元気にしてた?秋にお店が潰れちゃってさー。
今はここでバイトしてるわけ・・最悪だよ。

さっき見てきました。皆さんいらっしゃらないし、お店も変ってるし・・。


皆バラバラになってしまってさ。ハジメはちょっと変わった奴だったけど思いやりのある良い男の子だったな。アンタが来なくなってからもアイツはネットカフェに入り浸っていたよ。店を閉めてからは行方知れずだし、今は何をしてるんだかワカンネ。


アンタも元気で頑張ってよ。
パチンコでもやってく?良い台をみっけてあげるよ。笑。

ご親切にありがとうございます。笑。
お風邪ひかないようにね。さようなら。




電車に乗ったアタシの心は真っ白で痛くて悲しくて。「さようなら」の一言をハジメに言えなかったことを後悔しました。2人の無言の会話は実は熱い会話で、お互いの視線の交差は計り知れない意味深いものだったことに気づきました。あの夜のハジメの恥も外聞もなく訴えてきた心の動揺はアタシの脳裏からいつまでも消えないでしょう。


小雪が舞って・・明日はホワイトデーになるかしら。




このWHITE DAYはロリ板開始初日よりBBSに書き込みを続けてくださった
「あああ氏」に捧げます。近日、「あああ氏」の過去ログを公開予定です。