BBS DIARYLIBRARY 

ロリ〜タのひとりごと

2008/8/30 (Sat)  NEW YORKER 1

click!

NY

photo by lorita12345

New Yorker

岡山を出発してから24時間後、古巣に戻りました。

13時間の飛行を終えて、JFK飛行場からマンハッタンまでタクシーで40分。この街の夏は終わっていて肌寒い秋の風が吹いています。岡山で見上げた豪快な入道雲が白い飛行機雲に変わり、前方のガラス越しにマンハッタンのパノラマが見え始めると見慣れた風景に生活感を感じます。アタシはこの地に長く居住するニューヨーカーです。


タクシーを降りると、モトコが出迎えてくれました。

ロリさん。おかえりなさい

マンハッタンの北西に位置するハーレムで制作活動をする画家のモトコが留守中の植木の世話をしてくれました。モトコ手作りの散らし寿司を2人で食べながら制作のことなどを聞いていると時差でうつらうつら。気を使ったモトコが早々とA列車に乗って帰っていきました。そうなんです。ロリ板の登場人物は、「A君」のように日本からやってくる人々以外は殆どがニューヨークの住人たちです。

なにげに軽い気持ちで始めたロリ板のHPは数ヶ月で4年目を迎えます。開始した頃はこんなに長く日記を続けるなんて想像もしていませんでした。最初から日本に住んでいる設定で書いていましたが、少し無理が生じてきたので、今後はニューヨーク物語としてアタシの在NY生活を認めていくつもりです。




2008/9/1 (Mon)  NEW YORKER 2


bagel & coffee

photo by lorita12345

ダイナーで朝食を

さて、何から話しましょう。

13時間の時差があり、まだ日本時間で過ごしています。そのうちにNY時間になるでしょう。今は夏時間ですが、まもなく冬時間に変わり、落葉を楽しむ時間は短くて、一気に凍てつく冬になります。7,8月分の経理を片付けたのでCANONの真新しいデジカメをもって26丁目西にある蚤の市にでかけました。24丁目のダイナーで2ドル75セントの朝食を買い、片手にコーヒーを。片手にベーグルをかじりながら蚤の市を歩くのが癖になりました。映画“ティファニーで朝食を”の、ダウンタウン版です。

家の近所に20年代のDINNER(ダイナー)がありましたが、今は新しいマンションが建とうとしています。ダイナーを営むギリシャからの移民親子と冗談を交わしながら食事をしたものです。昔のダウンタウンの余韻を残すダイナーは何度も映画のロケに使われ、名前を知らない往年の俳優や、アル・パチーノ、デ・ニーロたちの写真が飾ってありました。住民達は歴史あるダイナーのために署名運動をしましたが、残念ながら立ち退きをよぎなくされました。家の裏の古いガスステーションでビリージョエルのup town girlのCDジャケットが撮影されましたが、今は新しいマンションが建っています。

素足にサンダルは冷たく、Tシャツでは寒いかも。ショルダーの中からジョーゼットのスカーフを首に巻きつけると、アタシはニューヨークの住人になります。午前6時のブロードウェイ通りは人気がなく、あと2時間もすれば雑踏の街と化すでしょう。



2008/9/2 (Tue)  NEW YORKER 3


NYC

photo by lorita12345

なぜかNY

以前、ロリ板の日記を読んだ政治部屋のドネリコンが指摘しました。

もしかして、ロリータって船木さんの奥さんじゃない?

鋭い奴・・・。と感じました。




2008/9/3 (Wed)  NEW YORKER 4

click!

NY

photo by lorita12345

ララバイナ〜レ

ララバイナ〜レ編(Vol.1〜4)は船木さんの代弁者であるアタシが認めたものです。

船木さんのことより、ロリ〜タのことを書いてよ

ロリ板のBBSでもお馴染みのアアア氏の書き込みで筆をおきました。

今、船木さんは岡山に1人残って工事を続けています。




2008/9/5 (Fri)  NEW YORKER 5


NYC

photo by lorita12345

ma ma mi ya

し、しまった・・・


ただいま真夜中の12時過ぎ。
7時間も寝てしまった。ヽ(。_°;)ノ

夕方5時。
襲ってくる睡魔。もう耐えられない。
目覚まし時計を1時間だけセットして眠ろう。
目覚まし時計を無意識で止めているし・・・

8時間後は仕事ででかけなくてはならなく、今夜は来週帰国するモトコと留守中のお礼を兼ねて、近所のベトナム料理で夕飯を招待しているし、夕方にまたまた眠くなると困るではないか。

死んでるんじゃないの?

かつて出張でやってきたアッコ。揺り起すまで眠り続ける友人。
彼女のようなパワーというか、エネルギーはアタシにはありません。

それにしても、どうしよう・・・



2008/9/7 (Sun)  NEW YORKER 6


okayama wabisuke

photo by Mr. Funaki

wabisuke2008

今年1月、雪花の散る厳寒の日にホームセンターで買った椿の苗木を植えました。
玄関前の小さい駐車場のコンクリートにほんの少し穴をあけ、今にも折れそうな華奢な苗木を植えたのですが、半年の留守中水やりを一切していないので、朽ちているのではないか?あるいは隣の住人の車に踏み倒されたのではないか?とても気になっていました。先に帰国した船木さんは真っ先に懐中電灯で確認したそうです。

前の日記にも書きましたが、近所の畳屋さんが時々水をやってくれたそうで、ワビスケ(侘助)は少し成長していました。工事の砂埃で椿の葉が白くなると、畳屋さんがやってきて、小声で、「椿が可哀相じゃな・・・」。実は桜の木を植えたかったのですが、殆ど留守にしているので世話ができません。椿の木なら落葉もなく、冬には花が咲きます。貧相な椿の木は今年の夏の猛暑に耐えてくれました。

先ほど、船木さんからメールが届きました。

新幹線で東京へ向かっています。
写真の詫助。今年はいっぱいの花を付けるらしいです。





2008/9/9 (Tue)  NEW YORKER 7


NYC2008

photo by lorita12345

本日も晴天なり

モトコがJFK空港から飛び立った月曜日です。一昨日はベトナム料理のレストランで送別会をしました。彼女は2年後のNYでの個展のために、ギリギリまで再渡米の準備をしていました。お粗末ながら弊社も推薦状を認めましたが、船木さんやアタシのようなグリーンカード(永住査証)とは異なる短期滞在の査証のようです。

ご両親と良く話し合ったほうがいいよ。

海外生活は3年までがリミットで、それ以上滞在すると帰国の機会を逸し、いつのまにか「浦島太郎・花子」になり易いです。よって軽率に渡米を勧めることはできません。ロリ板にしばしば登場するA君は2年間留学をしていましたが、彼は適度な期間で帰国したと思います。

目的と夢をもって渡米し、仕事を見つけたり、学業に勤しんでいても、自分の未来をしっかりと見つめていないと、何のための海外生活なのか分からなくなる人達が少なくはありません。海外で生きていく事は、そんなに甘いものではないのです。




2008/9/10 (Wed)  NEW YORKER 8


NYC2008

photo by lorita12345

Singin' in the Rain

近所のジョーが、

雨が降るよー。傘もってるかい?

I love Shower. Singin' in the rain♪

パン屋のBALTHAZAR店は常連の客達や観光客達で相変わらず混雑していました。2ヶ月ぶりなのに、売り子がアタシに注文をきかないで、「いつものですね?」
パンをバックパックにいれ、途中Dean&Delucaで野菜スープを買いました。

店をでるとドシャブリの雨が降りはじめ、滝修行のアタシは数分で濡れネズミ。
誰かが道に捨てた傘を拾いあげると、半分以上も骨部分がむき出しています。
面白い傘をさした変な女の紙袋が雨に塗れて今にも底がぬけそうです。
どこかのお店の軒下で紙袋の中のスープを飲むことにしました。

軒下に飛び込んできたユダヤ人のオジサン、中国系の男、ヒスパニックのオバサンが、「酷い雨だねー」。見知らぬ者同士が立ち話をしています。雨が小降りになると、1人、2人、3人と足早に無言で去っていきました。人々が走りながら右往左往する姿を見ながらスープを飲んでいると、雨がより激しく振りはじめました。さっき走り去った人たちは間違いなく下着まで濡れているでしょう。

銀色の空を見上げていると、軒下に2人の女性が走りこんできました。




2008/9/11 (Thu)  NEW YORKER 9


NYC2008

photo by lorita12345

Singin' in the Rain

日本からですか?

ニューヨークにお住まいですか?

なぜNYに住んでいるのが分かるのかな・・・

明後日が旅の最後という2人連れは日本人観光客でした。2人のプラダの洋服の裾から雨水が垂れています。ピンヒールの靴がなにげに哀しくみえました。今週はファッションWEEKなので、洋服の買い付けかしらと想像しましたが、これから観光コースのメトロポリタン美術館にいくとか。お勧めの美術館を問われたので、近代美術館(MOMA)もご覧になられたらよろしいかと。(でも、MOMAをご存じなかった・・・)

おっとりと会話をする印象の良い女性たちです。「ニューヨークに住めて羨ましい。」
「お仕事はどのような?」などと質問攻めでした。どの質問に対しても、「えーと・・・」「まぁ、そうですね・・・」と、曖昧な答え方しかできませんでした。いつもなら、自宅でお茶でもいかが?とお誘いするのですが、今日は「冬ソナ」をみたかったので・・・。

雨はやむでしょうか?

もう小降りになりましたし・・・
では、良いお旅を!さようなら〜


あ、ありがとうございます。

壊れた傘をさしたアタシにドンビキした2人は必死で愛想笑いをしています。
「これがニューヨーカーなの。真似できます?」と、言いたい気分でした。
振り返ると、2人はまだ軒下に立っていて、ペコリと会釈をしてくれました。




2008/9/11 (Thu)  NEW YORKER 10


NYC2008

photo by lorita12345

9 1 1

あの日は爽やかな朝で、アタシは郵便局へ行く途中でした。
出勤時間のブロードウェイ通りをタクシー、乗用車、トラックなどが走り、人々が急ぎ足で歩き、いつも通りの1日の始まりのはずだったんです。

ブロードウェイ通りの手前の駐車場で数人が南の空を見ながら話していました。
見ると、銀色の世界貿易センターのツインビルの片方のビルから少し煙がでていたので、いつもの軽いボヤだと感じました。数台の消防車がサイレンを鳴らしながら我先にと出動していく雄姿を横目にアタシは郵便局に向かいました。911の惨事については、「ララバイナ〜レ・4」に船木さんの経験として認めまていますが、少し加筆しておこうと思います。

通行人の誰かが小声で、「テロかも・・・」。まさかテロなんてありえない。と笑いながら歩いていると、ダウンタウン行きのバス乗り場で黒人女性に声をかけられました。

ツインビルの近くのオフィスにいきたいの。
でも地下鉄が来ないのでバスに乗ろうと思って。
ここで良いんですよね?


そうですよ。でも、ツインビルが火事かも。

あら、そうなの?いつものことね。ははは。
大丈夫よ。じゃ、タクシーで行くわ。バ〜イ


女性はタクシーに乗り、ブロードウェイを南に走っていきました。

郵便局に近づくと、人々が公衆電話に長い列をしています。携帯が使えなくなったとのことでした。アタシも船木さんに電話をすると本当に携帯が使えません。不安になったので郵便局をあきらめて家に引き返しました。走りながらツインタワーを見ると、旅客機のような物体が一機スーとビルの中に突き刺さったように見えました。飛行機事故?するとビルから赤い火が見え始めたので、これは普通の火事ではないと直感しました。転げるようにして帰宅すると、船木さんが何事もなかったように仕事をしていました。

事情を話すと、「そういえば、ビルがグラッと揺れたと思う。屋上に上がろう!」
屋上にかけ上がると、ツインタワーの片方のビルが燃えながら、スーッと真っ直ぐに崩れ落ちていく様子が見えました。嘘・・・。陥落までに恐らく15分程ではなかったでしょうか。タクシーに乗った黒人女性が現場に到着する所要時間でした。

部屋に戻りカメラを持って再び屋上に上がると2棟目も陥落。タワーの辺りは白煙に覆われ2棟のビルが呆気なく消滅しました。TVでは既に生々しい実況中継がされており、今日は友人がJALで空港に到着する予定だったので心配でした。

携帯だけではなく家の電話もプッツリと不通になりましたが、不思議なことにパソコン通信だけは使用可能でした。緊急事態なので飲料水を補充しておこうと思い、近所のスーパーに走ると、あの時はまだスーパーは営業をしており、従業員達も普段通りレジを打っていました。ただ、客の誰かが「ペンタゴンもやられた」と言っているのを耳にしましたが、詳細を聞く余裕はなく急いで家に帰りました。




2008/9/14 (Sun)  NEW YORKER 11


NYC2008

photo by lorita12345

ふぞろいのトマトたち

船木さんが帰って来ました。日本橋の友人N氏が次の日、そして今夜はM氏です。
アタシの時差は殆ど回復しましたが、男達は時差で苦しみながらすぐに仕事を始めています。それぞれの男達は異なった業界で頑張っている人たちですが、ロリ板には欠かせない人たちなのでそのうちに度々登場するでしょう。

今年も、メモリアル式典を終えた消防署に花束やキャンドルが飾ってあります。
あの時見送った2台の消防車は早くに現場に到着したようです。しかし、ビルの崩壊により写真のような勇敢な10人の消防士たちがビルの残骸深くに埋もれてしまいました。その後、彼等の制服が消防署の2階のベランダに架けられ、遺体がみつかる度に一枚一枚と家族の元に返され、最後の制服が雪の日も、雨の日も大きな星条旗の旗の下で揺れていました。



2008/9/16 (Tue)  NEW YORKER 12


NYC2008

photo by lorita12345

山積みのラヴレター

パリにいた船木さんから毎日のように分厚いエアメールが届きました。まだ存命だった父宛の手紙もかなりの数で、1ヶ月間に届いた手紙は靴箱3箱分はあるでしょう。
手紙はどうみても上手とはいえないブサイクな字でダラダラと書いてありました。

突然パリを追い出された船木さんは、次はNY行きを決意していたので、短い帰国の間に両親と一緒にロリ家を訪れ、訳が分からないままに結納式が行われました。
皆が去った後、結納金の札束の山を満足気に見つめる父の笑顔をみて、ああ、アタシは売られた花嫁と感じました・・・。結納金は婚約破棄になれば倍返しになるので定期預金口座に永久封印しました。

そして、船木さんがNYに単身乗り込んだ1年後、休職手続きをすませたアタシはとりあえず渡米しました。何をするにも3年間。このサイクルの3年はあっという間に過ぎ、現在に至っています。

さて、アタシ達がヤフー政治部屋に入室したのは、イラクで拉致された3人組事件からです。当地では拉致についての報道が少なく情報不足でした。入室した先が政治部屋。ところが予想に反して大したことを話していなかったので、次は2chのニュース速報を読みました。特に船木さんは釘付けになり、パソコン無知で、しかも2本指でタイピングをする船木さんは書き込みアクセスが拒否されるまでに成長したのです。





2008/9/18 (Thu)  NEW YORKER 13

NYC2008

photo by lorita12345

戒 厳 令

うっそ・・・こんなに暗くてオシッコ臭い薄汚れた街に住むの?騙された・・・。
1年ぶりに再会した船木さんは痩せ細り、家では夜遅くまで制作をしていました。

SOHO地区にあるロフト(倉庫)を無料で改造すれば住まわせてくれるという口約束を信じた船木さんは、自分の制作活動を放置して、アタシの為に必死で改造をしたそうです。アタシが到着した日は壁のペンキは生乾きで強い臭いが鼻をつきました。
ところが、2週間もしないうちにアタシ達は家主に追い出されてしまいました。
この時の気持ちは筆舌に尽くしがたいと船木さんは今も悔しがります。

でも、悔しい気持ちより先に住む場所を見つけなくてはなりません。新聞の賃貸案内を調べ、次に借りた場所はトラックの廃棄ガスが24時間充満する不健康なチャイナタウンのロフトでした。ストーブ(コンロ)はその昔ヨーコ・オノが使っていたものだとか、画家のアイオーが住んでいたとか、前の住人から聞きました。しかし、改造して住み始めると間もなく家賃が倍額になり、再び新聞の賃貸情報を手に歩きまわりました。

改造は大変な作業ですが、楽しいこともありました。映画"GHOST"の最初の場面と良く似ています。壁を壊しているとアイオーの絵が突如現われ驚いたものです。

現在の住居の購入と改造話は「ララバイナ〜レ」に認めていますが、新居はホームレスが温風の白煙がでるマンホールの上やビルの軒下で眠り、砂埃とゴミが道路に舞うような寂しい場所でした。しかし、周辺のビルには町工場があり、職人やダウンタウンの人々が和気藹々と集う平和な場所で、近くに地下鉄駅やスーパーがあり大変生活しやすい場所でした。

100年以上も前に立てられたブリック作りの鉄筋ビルが並ぶ歴史保存地区のこの場所は、昨今の異常な家賃の高騰により町工場が消え、画廊やレストラン街に変貌してしまいました。こんな環境になるなんて想像もしていませんでした。

ロフトの契約を済ませると銀行口座は50ドルのみになり、船木さんだけの収入では厳しいものがありました。アタシは渡米と同時に大学で修士の授業を受けていたのですが、彼の収入の殆どが生活費と授業料で消えていくことに焦りを感じるようになりました。

そして、大蔵省から出向したボスの元で有能な秘書として昼間はオフィスワーク、夜は大学で学生生活を続けました。残業で授業に遅れそうな時は、船木さんが資料を教室まで運んでくれました。そんな姿を学友達は温かくみつめてくれたものです。
出勤前に急いで作ったブサイクな手作り弁当を船木さんは美術学校のクラスで皆に見せながら食べるのが楽しみだったそうです。節約に節約を重ね、給料は船木さんの助言で出来るだけ貯蓄にまわしました。これが後に大変役に立つことになります。


さて、911の惨事と同時に、14丁目から現場にかけて戒厳令がひかれバリケードがなされました。すべての通行人は身分証明書を提示しなくてはならなく、ツインビルと14丁目の中間地点にある我家は陸の孤島状態で、スーパーも、公共機関も閉鎖し、なすすべも無く不安と同居して過ごしました。運良くNETとTVが使用できたので知人から届くメールに対応したり、新聞社に原稿を送ったりと、気分を紛らわすために夢中で送信を繰り返しました。

人々がマスクや毒マスクをつけて歩き、家の窓枠やドアの隙間にテープを貼っても、何ともいえない異臭が部屋中に籠り、嘔吐しそうな毎日でした。




2008/9/20 (Sat)  NEW YORKER 14

NYC2008

photo by lorita12345

23rd ST.

仕事の合間をみつけてブラブラ散策する23丁目界隈です。14丁目のユニオンスクエアの公園には、垂直に立つ魚や、手作りのチーズ、新鮮な野菜や果物を並べる青空市場があります。葡萄やリンゴなどの果物の試食をしたり、野菜を調理するデモンストレーションを見たり、季節感溢れる花を自分で選んだり、こういう風景もいつの日か懐かしい思い出になるでしょう。今朝は葡萄と桃を買いました。

5番街とブロードウェイが南北に走る23丁目の角にそびえ建つフラットアイアンビル。大好きな建物です。ここの11階にアンティークのタイプライターを修理してくれるオフィスがあります。正面窓際の尖った部分の三角形の狭い部屋には粗大ゴミのような各種のタイプライターが雑然と並び大雑把なNYらしい風景です。

7年前には南の空に世界貿易センターのツインビルが建っていました。



2008/9/22 (Mon)  NEW YORKER 15

NYC2008

photo by lorita12345

SOHO

マンハッタンのダウンタウンにあるソーホー地区(SOHO= The South of Houston)には、沢山の画廊があり、美術界のニューウェーブ的な場所でした。家賃の高騰で画廊はもっと安くて広いスペースをもとめ、23丁目西側のチェルシー地区(倉庫街)に移ってしまいました。その後SOHOはすっかりファッション街に様変わりし、高級な有名ブランドの店が並び世界中からの観光客で溢れています。アタシ達が追い出されたロフトがソーホーの中心にあったので、今になって考えてみれば住まなくて良かったと感じています。

ソーホー地区には友人達が住んでいますが、911で停電になり、水もなく、営業しているスーパーが川向こうにあったので、徒歩で片道2時間以上歩き、やっと買えた重い氷袋をバックパックに背負い家に帰ったそうです。また、あの衝撃と恐怖と異臭で鬱病になる人が続出し、孤独な人には耐えられない場所でした。

あの日、NYの空港はパニック状態となり、飛行中の機体は急遽到着地を変更せざるをえなく、フライトのキャンセルで搭乗するはずの乗客達はあの時どうしたのでしょう。飛行機で脱出したくても逃げられるような状態ではありませんでした。

一方、川向こうのブルックリンや郊外に居住する人たちは、陸の孤島になったマンハッタンから不安を背に徒歩で脱出をし、心配しているであろう家族のもとに何時間もかけて黙々と歩き続けたそうです。家族もなく、別荘もなく、非難する場所もないアタシ達は無人の街と化したマンハッタン島で眠れない日々を過ごしました。

電話がやっと通じたある日、メキシコから電話がはいりました。あの日、東京からNYに到着する筈の友人からでした。彼の機体はNYを避けて、なんと、メキシコに到着したそうです。10日間、缶詰状態のメキシコ生活で毎日タコスやエンチラルダを食し、マルガリータやテキーラ三昧だった彼はすっかりメキシコ通になりました。



2008/9/25 (Thu)  NEW YORKER 16

NYC2008

photo by lorita12345

south bronx

サウスブロンクスへ電車でGO。

カーチェイスのアクション映画や、強奪、暴行、麻薬売買などの印象が強いサウスブロンクスです。仕事と関係のない場所なので1度も行ったことがありませんでした。前日からGoogleMapで所在地を確かめたり、ジェフという担当者にアポの再確認の電話をし、書類を何度も読み返し、翌日に備えました。

コロンビア大学近くのハーレムよりもっと北東に位置するサウスブロンクスに到着したのが午前9時。約束の時間は10時でしたが、とりあえず左手の黒壁のビルで仕事をしているジェフを訪ねました。

ジェフの名前を覚えていなかったけど、どこかで会ったことがある?そういえば彼はミッドタウンの会社でスーツを着て働いていました?会社の事業縮小で、またユニオン制度がなかったためジェフや他の従業員は職を失ったそうです。「地味な仕事だけど、会社の倉庫で仕事ができる事に満足している」と話してくれました。ジェフの当時の職場仲間で、アタシ達に親切にしてくれたロン小父さんのことを問うと、先月亡くなったとの事でした。

さて、カフェもデリもないという話しだったのですが、ビルの道路の真向かいにスーパーがありました。スーパーのデリでヒップホップ系の強いアクセントの英語を喋る黒人やヒスパニックの客達がコーヒーやサンドイッチを注文しています。$1.75のコーヒーを啜りながら遠くダウンタウン方向を仰ぎ見ても、エンパイアステートビルはまったく見えません。電車でわずか30分なのに、ここはマンハッタンの外れでした。

ロリさ〜ん 船木さ〜ん

N会社のS女史が、現地で10:30集合にもかかわらず30分も早くやってきました。早目に来るだろうと予想していたので、当方は彼女より30分早くに到着し下見をしておきたかったのです。一緒にコーヒーを立ち飲みしていると、S嬢と同じニュージャージー州から別会社のスタッフの大男2人がトラックで到着しました。

OK。それでは、仕事に取り掛かりましょう



2008/9/27 (Sat)  NEW YORKER 17

NYC2008

photo by lorita12345

キャデラック

倉庫の前に73年物のキャデラックが駐車していたのでファインダーに。こんな場所ですがアンティークの車が不思議と似合っています。Once Upon a Time NYです。
現在は法律でオープンカーが禁止されていますが、走りながらドアが落ちそうなポンコツのオープンカーに乗っていたナルシストの友人・ジョー。沢山の職人やスタッフを雇っていた彼の会社は大手に買収され、今は悠々自適なサラリーマンです。

仕事終了後、S女史がHONDA・シビックでダウンタウンまで送ってくれました。
電車のほうが速いと感じるより、むしろ遠回りになるので申し訳ない気持ちでした。
ところが船木さんはさっさと助手席に乗り込んでしまいました。図々しいですよね。

珍しくロリ板を読んだ船木さんが、熟睡しているアタシの寝室へ入ってきて頭上で言いました。

俺ぁ、言っとくけど、図々しくないよ。オイラだって地下鉄で帰りたかったんだ。
S女史から情報を聞き出そうとしてたんだ。あれは俺様の作戦なんだぞ。
しっかり者と書いておくれよー!


因みにアタシ達は車を持っていません。他州へ出張する時は飛行機や長距離電車を利用し、駅からはタクシーで現場まで移動しています。車を持たない理由は、燃費と駐車料の節約のため?いいえ、単純に、゛臆病"だからです。

S女史は英語のナビを聞きながら快適な運転をしています。
後部座席のアタシはベーグルを頬張りながら彼女の話を聞きました。

いつものことながら彼女の完璧なバイリンガルには舌を巻きます。九州出身の女史は中国へ留学をし、そこでカナダ人のご主人と出会い結婚しました。精神科医の夫はモントリオールに居住し大学で教鞭をとっています。週末に夫が妻のもとに飛び、お互いを尊敬しあう仲の良いご夫妻です。

結婚後、彼女は単身ロスアンジェルスへ留学し、卒業後は通訳や観光案内をしていたそうで、現在の職を得るための苦労話を面白おかしく話してくれました。真面目で向上心があるので、職種を選べばもっと彼女らしい生き方ができるのではないかと考えてしまいました。才能が溢れる彼女の生き方と、何もないアタシの生き方のどちらが正しいのか分かりませんが。



2008/9/28 (Sun)  NEW YORKER 18

NYC2008

photo by lorita12345

船木さん登場

腹減ったー
ホットケーキ 作ってよー


うっもぉ。。。まだ眠いよ( ` ゜゜´)凸
昨夜は遅くまで冬ソナを見ながら
イラストレーターの勉強をしてたのに
パン食えばいいじゃんねー
トーストするだけだし。うっもー
なぬぅ?パンがない?


先ほど、HPを見た船木さんから、また助言がありました。
船木さんのことを書くと「個人的になりすぎではないか・・・」と申しております。

昔、「キャンディーボックス」というHPがあり、男のことを罵倒し続けた日記が面白くて愛読していた時期があります。ところが、男ができてからは内容がガラリと変わってしまい、実につまらないHPになりました。ロリ板も同じ展開になるのでは?と危惧し悩みました。そんな時の船木さんからの忠告でした。

しかし、船木さんとの二人三脚的生活はキャンディーBOXのような甘ったるいものではありません。お読みくださる皆様の印象がいかなるものか、この先の展開も筆者にはわかりません。よって、従来の書き方で続行をしようと思います。



2008/9/29 (Mon)  NEW YORKER 19

NYC2008

photo by Robert Wiles,1947

sleeping beauty

He is much better off without me ...
I wouldn't make a good wife for anybody, ...



1947年、エンパイアステイトビルの86階から投身自殺をしたエヴェリン・マクヘイル(23歳)の写真です。国連の車に落下した彼女の遺体を近くを歩いていた若い写真家が激写しました。写真はTIME誌の表紙に掲載され、当時の人々に衝撃を与えました。また、作家のアンディー・ウォーホールもこの写真をもとに作品を作っています。

スーツで正装をした彼女は真っ赤なルージュと入念な化粧をしています。片方の靴はなく、ストッキングも破れていますが、白い手袋に小さい花のブーケを握っています。車の屋根がまるで柔らかいシルクのベッドカバーのように見え、衝撃による出血もなく、安らかな死顔は眠れる美女のようで切ないです。

フィアンセへの遺書に、

私がいないほうが貴方はうまくいくのよ・・・
私は良い妻になれないタイプだから・・・





ねね、もしアタシが先に死んだら、アータどうする?

そんな時は早く死んでね。新しい嫁をもらうから。フッ

強がりを言いますが、たぶん、船木さんは寂しさで死ぬと思います。




2008/10/1 (Wed)  NEW YORKER 20

NYC2008

photo by lorita12345

indian summer

雨模様が続いていましたが、本日は快晴。暑い1日でした。

半年に1度の歯石クリーニングをドクターと約束をしていたのですが、キャンセルを繰り返し今日まで延期していました。5番街の40丁目。15階にあるクリニックに行くと、なぜか入り口のドアが開け放たれ、扇風機の生暖かい風が嫌な予感とでもいいますか。胸騒ぎとでもいいますか。「冷房が壊れてしまって修理を頼んでいるんだけど、まだ来てくれないの!」 受付嬢が文句を言いながら電話の応対で忙しそうです。
待合室の窓からいつものように銀色のエンパイアステートビルが見えました。

診察イスに座ると、ロシアから移民したという歯石専門の女技師がカリカリカリカリと歯石取りをしてくれます。脂汗が額からツツツーと流れ、「泣いてるの?」と聞くので、「ぢがう。あぜがででるだ。あづいのだー。ゴボゴボ」 「リラッ〜クス♪」と頭上で言ってはくれますが、とんでもない。アタシは全身硬直人間です。

はい。うがいをしてくださ〜い♪

d(>∀< )OK!終わった!さぁ帰ろう!



ちょっと、待っててね♪ 先生が診察しますから。

コエエェェ(´д`)ェェエエ工 もう十分やったでしょ・・・



次は中国から移民した未亡人で歯科医のドクター・ヤンがゴム手袋を替えながら、

ロリ〜♪久しぶり〜。どれどれ拝見。 (▼∀ ▼)フフフ

あら、あんた!ちゃんとフロスしてない!だめよ!怒!


カリカリカリ怒カリカリ怒カリ怒カリ怒カリ




2008/10/2 (Thu)  NEW YORKER 21

OKAYAMA2008

photo by lorita12345

家なき子・1

エライエライムシの相変わらずキュートで痴的で神がかった書き込みに爆笑。
レスをしながら、日記のタイトルを考えていました。

9月の収入は500ドル少々。9月分の給与なんて払えません。夏は岡山で無収入の2ヶ月近くを過ごしたので当然収入はありません。「なんとかなるよ」そんな感じでいつも切り抜けてきたので深刻に悩んでいないことに悩んでいます。

写真は岡山の居間です。イスはNYのゴミ市場で150ドルで買いました。これはBANK CHAIRと呼ばれていて、昔は銀行のロビーで使われていたそうです。家具なんて道に捨ててあるものを拾って直して使っていましたが、このバンクチェアだけは身銭をきって買ったものです。いつでも帰国できるように身軽にしておこうと決めているので家には家具らしきものはなく、欲しくてたまらないソファもありません。

説明が長くなりましたが、今年の夏の帰国時にバンクチェア2脚だけを岡山に送りました。送料800ドル。アホなことをしたのでしょうか?うむん。

10月3日、こちら時間の明日なのですが、生まれてくる赤ちゃんを心待ちにする父親の気持ちとでも申しますか、待ちに待った入金予定日です。残金のない口座を睨んでも増えるわけではないので、この1週間、エクセルを殆ど見ないようにしました。気分転換にイラストレーターのソフトに噛り付き、来年用のDM作りに没頭しています。

24時間後は貧困からの一時的逃避DAY。明日の入金に備えて、スケジュール帳に濃く書いた入金数字を何度も確認し、金額をエクセルに仮記入。溜めた請求書、給与、税金などの金額をその下に記入しました。これで準備OKです。入金があっても直ぐに無くなるのはいつものこと。きにしない。きにしない。(´∀`)




2008/10/4 (Sat)  NEW YORKER 22

illustrator

photo by lorita12345

家なき子・2

イラストレーターの機能を熟知しないまま、色々触りすぎて編集ができなくなりました。
予定通りの入金があり安心したので、DM作りを続けようとした矢先の異変でした。

なんとか自分で解決方法を見つけようと検索を繰り返しましたが、同じ問題のサンプルが見つからなく、とても1人で解決できそうにありませんでした。藁をもすがる気持ちでいつものように「パソコンなんでも相談室」に駆け込んだんです。

青ざめたアタシの緊迫した顔を見なくても理解してくださったのでしょう。常連の皆さんたち(主に、Te_chigaiさん、Uncorrelatedさん、Joutouさん、Ionさん、Nagaraさん、Seikunさん達)が必死に教えてくださいました。そして、問題発覚から6時間後、こちらの真夜中に原因究明することができました。嬉しくて泣きそうです。

本当にありがとうございました>パソコン部屋の皆様




2008/10/6 (Mon)  NEW YORKER 23

illustrator

photo by lorita12345

家なき子・3

昨夜は疲労度が沸点を超えていたけど、「今がやり時!」気負う気持ちでDMを完成させました。ついでに経理もやらないと。ふぅ。

完璧を目指すわけではないけど、ルーティンなのでやっておかないと気がすまない性分です。鼾をかいて寝ている船木さんがまた朝起こしにくると思い、ドアに「午前10時まで寝させてください」とメモを残しました。途中で「いや、11時にしよう」と暗闇の中をデスクに。ついでにPCをオンにしてメールを確認したり、冬ソナをみていると忘れてしまいました。書いても無駄なことは分かっているのですが、やはり無駄でした。

朝9時。ドアをパン!と開けて、

それ以上寝ると本物のブタになるから起きたほうがいいよ

(´っω・`)ねむぃょー。せめて、あと30分・・・

睡眠を削られて悔しいけどいつものことなので諦めました。そうなのです。アタシの人生諦めていることが結構あるのです。自由の国にいるのになんだか不公平。ここはデモクラシーなんだよー!ところで、明日からお客さんがやってくるので準備をしておかなくては。食料品を買いにスーパーへ。バックパックと、キャスター付の籠に一杯の食料品を詰めてゴロゴロ引きずりながら考えることは、

なんで、アタシがいつもこういう具合になるの?おかしくない?

友人のサチコが、「やるから駄目なのよ。船木さんにやらせたらいいのよ!」

船木さんに直談判すると、

貴女は自分でやらないと気がすまない人でしょ!^^

そうかな〜?
そうかもね・・・


大荷物を持ったショッピングレーディーのアタシと軽装の美女との対比。
悔しいからピタッと彼女の背後に密着し撮影しました。





2008/10/7 (Tue)  NEW YORKER 24

Mr.Todoroki Y-S

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家なき子・4

MR.等々力がやってきました。JFKから電話があり、先ずはホテルにチェックインして、それから船木家にお土産を持って挨拶にくるとのことでした。ブザーが鳴り、カメラの向こうで等々力氏と一緒にやってきた彼のビジネスフレンドのMR.埼玉の2人が照れくさそうに笑っています。

俺達、ホームレスだよー!

等々力氏の秘書がホテルの予約をした筈なのに、予約がとれていませんでした。
前回の渡米では高額のホテル代を全額支払っているにも拘らず、当方に泊まりこんだ等々力氏です。お互いを心得ているので当家に泊まることを勧めました。

埼玉氏用の寝床はアタシのアトリエの中央に作りました。緊急用の煎餅布団を見て絶叫しています。「わぁ。助かります〜」。等々力氏にはアタシの寝室を使ってもらい、アタシは船木さんがいつも寝ているロフトベッドの下段に引越しました。ロフトベッドは船木さんが頑丈に作ったものですが、上がり下りする度に手作りの階段がギシギシと音をたて、寝返りの度にベッドの床がギーギー音をだします。アタシの重量が・・・。
心配した船木さんが上段に寝ることになりました。

豚骨ラーメン、キムチ、牛肉の煮物、白飯で昼食を食べた後、このまま眠ってしまいそうだったので、船木さんが2人を美術館に誘いました。ここのところは時差に耐えなくてはならないのです。2人は美術館で絵を鑑賞するどころか、歩きながら船を漕いでいたそうで、「家に帰る?」と言うと、「うん」。帰宅した2人は入浴もせず、ご飯も食べないで、それぞれの寝床に消えてしまいました。

ただいま午後6:30。物凄いイビキ音が家中に響いています。




2008/10/8 (Wed)  NEW YORKER 25

Mr. Diesel

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家なき子・5


埼玉氏の靴です。この人はいつも本当にラフなスタイルなのですが、見えないところでオサレを楽しみ、大切な会議でも普段着を通すような人です。たとえば、薄汚れて見えるTシャツですが、彼なりのこだわりがあるようで、本日のTシャツのブランドを聞くと、「大したものではないですよ」と謙遜なさる。襟元をひっぱって裏のタグをみると、ダンヒルでした。ダンヒルってカジュアル着を売っているんですね。汚れたスニーカーと思っていたら、Dieselのスェード製のこだわりのオサレなスニーカーでした。

さて、ホームレスになった等々力社長たちですが・・・、
船木家で陽気に焼酎を飲みながら、秘書の川口君に電話をいれました。

社長、おはようございます。
無事にNYに到着されましたか?


川口君さ、ホテルの予約がとれてないんだよ。
それで私達は今ブロードウェイの暗い道路で電話しているんだ。
まるでホームレスだよ。


エー!社長!大丈夫ですか?

なにしろ外は寒いからね。暖をとるために焼酎を買って飲んでるよ。
周りには黒人がウロウロしていてさ。怖い場所にいるんだぞ。


エー!社長!大丈夫ですか?

ホテルはどこもいっぱいでさ。
今夜から一週間泊まるところがないんだ・・・


エー!社長!そうなんですか?!

予約してくれた君を信頼していたんだけどね・・・。
明日から、もう出社しなくていいよ。
私の言ってること、わかるよね。川口君。


エー!社長!まじっすか!?

まじっす。

エー!社長!誰がホテルを予約したんですか?

君だろうが。なぁ、川口君よ。

エー!社長!違いますよ!
僕じゃないっす!


エー!まじっすか!川口君!

ホテルの予約はお早めに。
懐かしいキャッチフレーズです。

直ぐに別の秘書からメールがはいりました。
なんと、ホテルの予約は会社名でいれていたようです。><。




2008/10/10 (Fri)  NEW YORKER 26

graffiti world

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家なき子・6

ふぅ。手作りのDMのドラフトを印刷屋さんに渡しました。あとは野となれ山となれ。
制作と仕事で超多忙のリュウに迷惑をかけたくなかったけど、どうしても分からないので質問しました。彼は気持ちよく「作ってあげますよ」と言ってくれ、寝る時間を裂いてメールにサンプルを添付してくれました。さすがにプロで食っているだけあって物凄い技の人だと思います。リュウのような人が側にいてくれたら本当に助かるのですが、徹夜して頑張っているアタシを気遣うアナログの船木さんが逆に気の毒でした。
手を出せない状態って本当に辛いものです。

まぁ、今回も聞いたことも見たことも無かった知識が急激にゲットできたのでラッキーでした。教わるより慣れろとは良くいうでしょ。間違えても良いから自分でやらなくてはいつまでも分からないです。いつものパソコンなんでも相談室に居座っていますが、Maul氏をはじめ皆々さまには本当にお世話にいなりました。また、喧嘩部屋のドラエモンさん。aiの画像のクリッピングの方法を教えてくれてありがとうございました。

あぁ、そういえば、パソコン部屋をいつも荒らして忌み嫌われている自称英語堪能と言う"常に違うIDの人"。一生懸命説明してくれましたね。あれから自分で勉強をして背景を透明にし文字をうまくトレースできました。ありがとうございました。

チャイナタウンの印刷屋さんのケンチン君の側で彼のパソコン技を見ることしばし。
「OK。これで印刷しましょう」貴方の技には感動しました。素晴らしいの一言です。

帰路、SOHOのいつもの裏通りを歩き、今や珍しいグラフィティ(graffiti,落書き)を撮影しました。昔はキース・ヘーリングやバスキアが落書きをしていたそうです。現在のNYの電車はグラフィティのスプレーやペンキが反応しない川崎製の電車ですが、アタシが渡米した頃はまだ落書きがされていました。本来の電車の銀色のステンレスの壁がみえなくなるほど勢いのある落書きでした。



2008/10/11 (Sat)  NEW YORKER 27

homeless people
photo by lorita12345

homeless people
photo by lorita12345


家なき子・7
homeless people version・・・


等々力氏はアタシのベッドで眠り、埼玉氏の煎餅布団はアトリエに作りました。布団が足りないので寒かったと思います。アタシは極上の羽毛布団をかけて寝ています。結局、彼等はホテルの予約がとれていたので翌日ホテルにチェックインしました。

にもかかわらず、毎日やってきて酒を飲みながら今後の経済の動向について話し込んでいます。大変なことになりました。世界恐慌ですぞ。のんびり冬ソナを見ている状態ではありません。直ぐに帰国して地道でまっとうな生き方をしたほうが良いのかも。





2008/10/12 (Sun)  NEW YORKER 28

OPUS ONE WINE

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家なき子・7

等々力氏と埼玉氏がルンルン♪と嬉しそうにワインを買ってきました。
2人はお土産に2本ずつ買い、等々力氏が「皆で試飲しようぜ!」と提案しました。

"OPUS ONE"という名の赤ワインは1本250ドルもしたそうです。
かなり濃厚な味です。水で薄めればもっと美味しいのではないかと感じました。
1口が1ドル、2口目が2ドルと勘定をしながら飲むアタシは大物にはなれません。
日本では限定ワインだそうで、なんと!1本6万円もするそうです。

等々力氏が奥さんに電話をしました。

君のために"OPUS ONE"を買ったよ

いらないわよ!それよりシャネルのバッグを買ってきてね!

わかったよ・・・・

船木さんが埼玉氏に「どのようなオケージョンで飲むつもりですか?」と問いました。

嫁と喧嘩した時とか・・・、嫁の誕生日にとか・・・

うちの嫁だと怒りますけどね。だろ?ロリタン

もちろんよ!そんな高いものを買ってきたら、殺す!

埼玉氏は昨夜大事そうにワインを抱えて商用でヨーロッパに出発しました。
フランクフルトで1泊し、翌日はパリにはいり、そしてロンドンへ飛び、またパリへ帰り、最後はワインの瓶を抱えて日本へ帰国。滅茶苦茶多忙の1週間の旅です。

先ほど船木さんがネットで"OPUS ONE"を検索をすると、
日本で25,000円(ほぼ250ドル)で入手できるそうです。





2008/10/14 (Tue)  NEW YORKER 29

MILLION DOLLARS BABY

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家なき子・8

イラストレーターが少し使えるようになったと喜んでいたら、次はフォトショップの使い方が分からない・・・うぅ。レイヤー作業がどうしても理解できないのです。仕事が山になっているのに、フォトショで1日無駄にしてしまいました。寝る前に明日は絶対にフォトショはやらないことを決意しました。が、あぁ眠れない。フォトショのレイヤーが頭の中で何層にも重なり脳味噌のレイヤーケーキが・・・

週末は等々力氏と埼玉氏の依頼で久しぶりにランチ付の通訳をしたのですが、緊張するべき会話が爆笑会話になってしまい、等々力氏たちがアタシを選んだ時点で間違いだったと思います。ごめんなさい。

レストランでは、客が食べていたハンバーグが美味しそうだったので同じものを注文し、両手でかぶりつきながら通訳をしたのですが、他の皆さんは?といえば、上品に冷スープをスプーンで啜り、フォークとナイフでサラダや蟹コロッケのようなものを召し上がっていらっしゃる。あぁ。なんてドジなアタシでしょう。フレンチフライが残っているのにウェイターがサッサとさげてしまい、おい!( ̄^ ̄;)凸

先方の美人ディレクターのルイーズとは意外にもネイバー(隣人)でした。以前パケット誌のエディターをしていたというルイーズが「翻訳の仕事をしませんか?」と誘ってくれましたが、頭の中がイラストレーターとフォトショップで一杯一杯のアタシにそんな時間と能力なんてあるわけがないです。2年間ほど、日本の某月刊誌のインタビューコラム5ページをまかされたことがありますが、毎月のことなので取材と準備などで振り回され、自分の時間なんてありませんでした。でも、インタビューでは多くの作家達と出会ったり、写真家や関係者たちと知己を得られた事は幸運だったと思っています。


PS:
ブログ"狂った果実"のShooting氏が、
船木さんという名前は匿名なのか?正々堂々と本名を晒せ!
まぁ、ここのところは繊細な船木さんをたてて匿名を続けます。ヨロシクです。笑

ただいま午前1時です。
フォットショップでやっとロゴが作れました。
「できる!photoshop」本の説明通りに作ったロゴです。
何度やっても動作しなかった文字ツールについては、
フォトショのソフトの一部が破損していたようです。
ソフトをアンインストし、そして再インスト。
これで正しく使えるようになりました。

Peipeipeipeiさん、エライエライムシたま、Micro嬢、そして、Shooting兄。ありがとう。

Photoshop No.1



2008/10/15 (Wed)  NEW YORKER 30

NOHO

photo by lorita12345

家なき子・9

下の日記に落書きグラフィティーの写真を掲載しましたが、Two-Long氏がもっと見たいとおっしゃるので、面白いグラフィティーを探しました。歩きながら気づいたのですが、宣伝用の看板が目立ち、それもアップタウンは少なく、ダウンタウンの看板が異常に増えています。壁ADの先駆者的なデザイナーのドナ・キャランのオサレな"自由の女神"の壁広告がかつてNYの顔になりましたが、今はブサイクな広告が街中に氾濫しています。

壁広告は目に付きやすいビルの壁全面を使い、シートのようなものに印刷した企業広告の布を屋上から垂れ下ろす方法です。窓のある壁であれば室内から外の風景が見えるように透明な素材を使用します。宣伝は通常3ヶ月毎に架け替えられます。大きさにもよりますが、月額にして10、000ドル以上です。掲載写真の建物はアタシの家の裏通りですが、このサイズだと、15、000ドルー25,000ドルほどでしょう。
このビルの住人達は泡金の収入を得ていることになります。

当方のビルの東側に結構大きな壁があり、壁宣伝を扱っている数社からオファーがありました。賃料で金を貯めて「オートで動くエレベーターにかえよう!」と住人達はやっきになっています。アタシ的には鉄の扉が重いけど100年物の手動で動く大きいFreight(工業用)エレベーターに愛着があるのですが。

「エンパイヤーステートビルが見えなくなった!」コロンビア大学で教鞭をとる6階のリチャードは通りを隔てたビルの屋上に突然巨大な看板が立ち唖然としたそうです。
起床してコーヒーマグを片手に風景を見るのが日課だったようで、窓の外の巨大な看板は屈辱だったのです。憤慨した彼は長い時間をかけて相手のビルを訴えていましたが、あっさり完敗・・・。日中でも人が歩かない、冬は耳がちぎれるほど寒いハドソン川沿いに引越してしまいました。




2008/10/17 (Fri)  NEW YORKER 31


Memorial 911

edited by photoshop elements,photo by lorita12345

家なき子・10 

等々力氏からメールが届きました。

無事、成田に着きました。
家内が、迎えにくるようです。 お世話になりました。


5分後、メールがきました。

殆どの業界で、嵐のような倒産風が、吹くでしょう。経験したことのない大不況です。アメリカ型のギャンブル経済の終焉です。質素に身の丈で、生活します。不況の時こそ、ジム通いで身体鍛えます。若々しい体力だけが、私のとりえですから。

30分後、メールがきました。

NY、733ドル下がりましたが、実体経済の悪化が、原因です。今は、入り口ですから、今から益々下がります。全世界、大不況に突入します。今、想像出来ないくらいの状況になります。私自身に言い聞かせてます。

いよいよブラックマンデーか・・・。
この数年、ギラギラピカピカのバブル期だったの?
今頃気づくアタシってなんなんだろう・・・


さて、タイトル「家なき子」が等々力氏の来訪で意味のないものになってしまいました。
本当はこういう事を書きたかったのではないのです。まーいいでしょう。
しかし、やはり、「続・家なき子」を続けます。次回も引き続きヨロシクお願いします。